帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが大人になってから再び活動し、皮膚に強い痛みを伴う発疹を引き起こす病気です。高齢になるほどかかりやすいものの、ワクチンで予防することができます。
このたびの研究では、イギリスでワクチンを受けた方々を長期間追跡し、認知症がどのくらい防げたのかを調べました。その結果、ワクチンを接種した人は接種しなかった人と比べて、約20%も認知症になるリスクが低いことがわかったのです。
この数字….実は驚くべきもので、これまで知られている認知症予防のためのさまざまな方法――たとえば食事の工夫、運動習慣、血圧や血糖のコントロールなど――よりも、はるかに大きな効果です。
つまり、普段の生活習慣を気をつけることももちろん大事ですが、それにプラスして帯状疱疹ワクチンを受けることで、より強力に認知症を防ぐことが期待できるということになります。
どうしてこのような効果があるのか、はっきりとした仕組みはまだ研究途中ですが、大きく2つの理由が考えられています。
帯状疱疹ワクチンでウイルスの再発を防ぐことで、脳に負担となる炎症やダメージが起こりにくくなります。
ワクチン接種によって免疫が活性化されることで、認知症の原因となる物質がたまりにくくなる可能性があります。
もちろん、まだすべてが解明されたわけではありません。これからさらに研究が進めば、認知症予防の方法として正式に広まるかもしれません。ただし現時点でも、帯状疱疹ワクチンはすでに「帯状疱疹」や「帯状疱疹後神経痛」を予防するためにおすすめできるワクチンです。